住宅ローンの繰上返済

繰り上げ返済とは住宅ローンの毎月決められた返済額に加えてローンの一部を返済することです。

繰り上げ返済は住宅ローンの負担を減らす上でとても有効です。

繰り上げ返済した分は、住宅ローンの元金返済にあてられます。

ですから、繰り上げ返済を行なうと元金が減りますので、元金に対してかかるはずの利息が減り、返済総額も少なくなります。

繰り上げ返済には期間短縮型と返済額軽減型の2種類があります。

期間短縮型は繰り上げ返済をすることにより、当初の予定よりも返済期間を短縮するものです。

返済額軽減型は返済期間を変えずに返済額を軽減させるものです。

では、詳しく見ていきましょう。

 

期間短縮型

返済額はそのままで返済期間が短くなる繰り上げ返済の方法です。

繰上返済で元金が減っていますので、毎月の返済額がそのままなら、その分返済期間が短くなるんです。

完済時期を早めたい、総返済額を効率的に減らしたいという目的のためには「期間短縮型」が向いています。

 

返済額軽減型

返済期間はそのままで、毎月の返済額が少なくなる繰り上げ返済の方法です。

繰上返済で元金が減っていますので、返済期間がそのままなら、その分毎月の返済額が少なくなるんです。

毎月の支払額を抑えたいという目的のためには「返済額軽減型」が向いています。

 

繰り上げ返済は得か?

この問題は良く取り上げられる問題です。

ここで繰り上げ返済のメリットとデメリットを整理しておきましょう。

繰り上げ返済のメリット

繰り上げ返済の一番のメリットは、総返済額を抑えることができることです。

総返済額が少なければ、その分手元に残る金額が多くなります。

繰り上げ返済のデメリット

当然のことですが繰り上げ返済は手持ちの現金を使いますので言い換えれば、手元の現金が少なくなります。

繰り上げ返済を優先しすぎるとその返済負担が多くなり、繰り上げ返済を行ったことでまとまったお金が必要な時に不足するなどの事態が考えられます。

 

物事には何でもメリットとデメリットがあるものですが、元銀行員の私から言わせれば繰り上げ返済は経済合理性から考えても絶対お得です。

住宅ローンの借入後、住宅ローンの返済に加えて貯蓄もされますよね。

都市銀行の定期預金金利は0.01%程度です。(2016年11月現在)

一方、都市銀行の住宅ローンの金利は変動金利型で0.7%程度、20年の固定金利型で2.4%程度です。(2016年11月現在)

金利を比べると変動金利型住宅ローンは定期預金の70倍、固定金利型では実に定期預金の240倍の金利なんです。

子供の教育費や不測の支払いに備えて貯蓄は大切です。

しかし、必要充分な額を超える貯蓄は繰り上げ返済に回した方が得なんです。

それは0.7%や2.4%の定期預金と同じ効果なのですから。

ですから、そのご家族で必要充分な貯蓄額を把握し、それを上回る分については貯蓄に回さず繰り上げ返済にあてられることをお勧めします。

まとまった金額で繰り上げ返済されても構いませんが、コツコツ細かく繰り上げ返済をした方がより効果的です。

 

繰り上げ返済の注意点

手許に必要な資金を確保しておく

上述の通り、繰り上げ返済は住宅ローンの負担を減らす上で大変有効です。

しかし、繰り上げ返済のデメリットである、まとまったお金が必要な時に不足するなどの事態は避けなければなりません。

日本人は借金が嫌いです。

住宅ローンも借金ですので、「期間短縮型」の繰り上げ返済にはまっている人も少なくありません。

まさに、繰り上げ返済の虜になっている状態です。

そういう状況に陥らないよう、家族の生活に充分かつ余裕のある資金は手許に確保しておきましょう。

繰り上げ返済手数料の安い金融機関を選ぶ

多くの金融機関は繰り上げ返済について手数料を設けています。

金利タイプや繰り上げ返済の金額にもよりますが、数万円の手数料を取られる場合があります。

自分の借金を返済するのに手数料を取られるなんてばからしいですよね。

銀行は住宅ローンをより長く、より多く借りていてほしいんです。

だから繰り上げ返済を嫌うんです。

銀行が嫌う繰り上げ返済は裏を返せば借主にとっては有利でお得な制度と言えます。

繰り上げ返済を有効に活用するために、繰り上げ返済手数料の安い住宅ローンを選びましょう。

ネット銀行では繰り上げ返済手数料が無料のところもありますし、銀行によってはネットバンキングでの手続きでしたら繰り上げ返済手数料が無料だったり、割引されているところもあります。

住宅ローンを選ぶ際、金利だけでなく繰り上げ返済手数料についてもぜひチェックしてください。

 

繰り上げ返済は住宅ローンの負担を減らす有効な方法です。

繰り上げ返済の利用方法を充分理解することで余剰資金を賢く使うことができます。

住宅ローンとは長く付き合うことになるので、繰り上げ返済の利息軽減効果だけに目を奪われることなく、預貯金とのバランスを重視し、計画的に行うことが大切です。

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