金利は借りる人で変わる

前ぺーじの「金利は世の中の景気で変わる」で説明したように、住宅ローン金利のベースとなる市場金利はその時々の景気動向で変動します。

この金利はすべての人に平等な金利です。

しかし、AさんとBさんが同じ時期に住宅ローンを申し込むとします。

AさんとBさんは同じ金利で住宅ローンが組めるでしょうか?

答はNOです。

その時々の市場金利をベースに様々な要因を加味して住宅ローン金利は決められます。

このページ以降はベースとなる市場金利以外の様々な要因について説明していきます。

 

 

住宅ローンは借りる人によって金利が変わんです。

銀行などの金融機関は借主の返済能力によって金利を変えます。

金融機関ではこの返済能力を「信用」と呼び、この信用が高ければ金利が低く、信用が低くなるに従って金利が高くなります。

では金融機関はこの信用をどのように判断しているのでしょうか。

金融機関によって基準は様々だと思いますが、私が勤務していた銀行では勤務先が大きな要素となっていました。

公務員と東証1部上場企業、地場有力企業が勤務先であれば最優遇金利が適用されました。

その他の勤務先や自営業であれば、収入や資産状況、住宅ローンの返済比率等に応じて金利が適用されます。

そのほか信用が低いと判断されれば、高い金利に加えて保証会社の保証を求められるケースもあります。(保証会社の保証とは借主が住宅ローンを返済できなかった場合、保証会社が銀行に返済を行う制度で金融機関にとっては保険のような意味合いがあり、保証料は借主が負担します)

つまり、借主の信用が低いと判断されれば金利が高くなるうえに、別途保証料までかかってしまうのです。

信用の判断基準が勤務先というのもおかしな話ですが、公務員や大企業の社員であれば倒産リスクも少なく、給与面も安定していると考えているんでしょうね。

ただ、公務員や大企業の社員であっても過去にクレジットカードの延滞などがあれば話は別ですよ。(信用が低いとみなされます)

 

これは住宅ローンに限った話ではなく、銀行の貸出についてはすべて同じです。

銀行はお金を貸すことを与信といいます。

読んで字のごとく、信用を供与することです。

銀行の与信は企業向けの貸出が中心です。

住宅ローンも与信ですが、その割合は企業向け貸出に比べれば少ないんです。

銀行が企業向けに貸出を行う際は、その資金使途、返済原資を厳格に審査し、その企業自体の信用力がどうかを判断した上で融資を行います。

銀行はそれぞれの企業に対して「信用格付」というものを行います。

これは銀行内部で行うもので、顧客には一切知らせません。

この格付は細かく細分化されており、最上位から最下位までたくさんのランクがあります。

そのランクに応じて貸出額や金利が決められるんです。

まさにこれが「信用」なんです。

信用力の高い企業は低い金利でお金を借りることができますし、ランクが下がるほど金利が高くなります。

また、一定ランク以下の企業には銀行はお金を貸しません。

住宅ローンの金利が借りる人で変わるというのはまさにこれと同じなんです。

大企業に勤務し収入が安定している人と、自営業で毎年の収入にバラツキがある人では、やはり大企業の人の方が「信用力」が高いと銀行は判断します。

そこに金利の差が生まれます。

住宅ローンの場合は、土地建物を担保に取りますので、企業向け貸出ほど差は出ませんが、大企業に勤務しているような信用力が高いと判断される人は金利面で優遇されるんです。

もちろん、勤務先だけが判断材料ではありません。

保有している資産などそのほかの材料も総合的に加味して判断されます。

このように住宅ローン金利は借りる人で変わるんです

次のページでは金融機関で金利が変わるお話について説明します。

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