夫婦や親子で借りるペアローン

ペアローンとは

ペアローンとは住宅ローンを収入のある夫婦や親子が一つの金融機関で、別々に債務者となって住宅ローンを組む方法です。

1つの物件に対して夫婦や親子などが2つの住宅ローンを借りることなんです。

具体的に言うと、3,000万円の物件を買うとして、夫が2,000万円、妻が1,000万円の住宅ローンを別々に借りてこの物件を買うようなことなんです。

それぞれが連帯保証人の役割にもなり、名義は実際に支払った頭金や組んだローンの負担割合から持ち分を決めて登記をおこないます。

それぞれが住宅ローン契約をすることになるので、借り入れできる金額も大きくなります。

その他にも住宅ローン控除など活用することで減税につながる可能性もあります。

 

ペアローンのメリット

借り入れできる住宅ローンの金額が多くなる

ペアローンは夫婦や親子などがそれぞれ住宅ローンの審査を受けて借りるものです。

ですから、住宅ローンの借入可能額はそれぞれの収入で借りられる金額を合わせたものになります。

具体的に見てみましょう。

例えば、夫の収入が年収600万円。妻の年収が400万円だとしましょう。

前提条件として金利4%、返済負担率25%、返済期間30年とします。

それぞれが単独で借りられる住宅ローンは、夫が約2,600万円、妻が約1,750万円になります。

世帯主の夫だけで住宅ローンを借りると2,600万円までしか借りられませんが、妻を借主に加えたペアローンであれば、つま単独の1,750万円が加算され、夫婦で4,350万円借りることができるんです。

夫だけの借入だけでは希望する物件を購入できない場合は、妻名義でも住宅ローンの申し込みをする、つまりペアで住宅ローンを借りることにより希望の借入額を達成できることになります。

夫婦や親子それぞれに団体信用生命保険(団信)の保障が付く

ペアローンは夫婦や親子それぞれが1つの住宅ローンの契約をします。

ですから、1つの契約毎に団体信用生命保険(団信)の保障が付くことになります。

つまり夫婦のペアローンの場合、夫が死亡すれば夫名義で借りている住宅ローンの返済はなくなり、妻が死亡すれば、妻名義で借りている住宅ローンの返済は無くなります。

上記の夫婦の例で具体的に見てみましょう。

4,350万円の物件に対して夫2,600万円、妻1,750万円のペアローンを借りているとします。

この場合で夫が亡くなると、夫が借りている2,600万円の住宅ローンがなくなり、妻が借りている1,750万円の住宅ローンはそのまま残ります。

これが、連帯債務や連帯保証という住宅ローンの借り方であれば住宅ローンの契約はひとつなので団体信用生命保険の契約も、住宅ローンの名義人1人に対してしかかかりません。

例えば、共働き世帯で夫婦共に収入が似ているとします。

住宅ローンの借り方は連帯保証という形で借りると、団体信用生命保険は夫だけにかかるようになります。

こうなると、夫が死亡すれば住宅ローンは全部無くなりますが、妻が死亡しても住宅ローンは丸々残ってしまいます。

それを防ぐためには妻が別の生命保険で補償を手当てする必要なども出てくるかもしれません。

以上を考えると、共働きで収入が似ている場合は連帯債務や連帯保証ではなくペアローンで、それぞれに団体信用生命保険をかけるほうが合理的なんです。

夫婦や親子それぞれで住宅ローン控除を受けられる

ペアローンは夫婦や親子それぞれが住宅ローンの借主になるので、それぞれで住宅ローン控除を受けることができます。

夫だけの収入、もしくは妻だけの収入では住宅ローン控除の減税枠を使い切れないという場合はペアローンなど夫婦で住宅ローン控除を使える形にしておくと有効です。

 

ペアローンのデメリット

過剰な住宅ローン借入れのリスク

ペアローンのメリットである、借り入れできる住宅ローンの金額が多くなるがゆえのリスクです。

ペアローンを利用すると住宅ローンの借入可能額が大きくなります。

そこで、不要に住宅ローンを借りすぎてしまうリスクがあるんです。

言い換えれば不要に住宅にお金をかけてしまうことにつながるんです。

ですから、金融機関が貸してくれるからとその金額で考えるのではなく、自分たちはいくらくらいまで住宅ローンを借りて大丈夫なのかを考えるべきなんです。

離婚した場合の手続きが複雑

これからペアローンを組もうと考えている人は離婚のことなど考えていませんよね。

しかし、長い返済期間の間に人生何が起こるかわかりません。

仮に将来離婚することになり、ペアローンを組んで住宅を共有名義のままにしておくと、その後売却したいと思っても相手と連絡が取れなかったり、相手が死亡した場合は相手の新しい家族が持分を相続するなど、なにかとトラブルになる可能性が高くなります。

住宅の名義や住宅ローンをどうするかなど、離婚となった場合は手続きがとても複雑になります。

契約の手間、費用が二倍

ペアローンは住宅ローンの契約が2つになります。

ですから、住宅ローンの契約にかかる手間や揃える書類、金銭消費賃貸借契約書に添付する印紙代が2倍になります。

2人とも住宅ローンの審査に通らなければならない

ペアローンは住宅ローンの契約が2つになります。

ですから、それぞれの申込人が住宅ローンの審査に通る必要があります。

夫は住宅ローンの審査に通ったけど妻がダメだったり、逆に妻は通ったけど夫はダメだったとなるとペアローンを利用することができません。

住宅ローンの審査同様、両者とも団体信用生命保険の審査に通過する必要もあります。

どちらかが健康状態に問題がある場合などもペアローンを利用できない可能性があります。

ペアローンを利用できない場合は、どちらか単独で住宅ローンを借りるか、連帯債務や連帯保証などに切り替えて申し込みをすることになります。

住宅の持ち分設定によるは贈与税

ペアローンの場合、夫婦や親子それぞれが住宅ローンの借り主になります。

つまり、購入する家に対してそれぞれがお金を出すということです。

ここで注意しなければならないのが住宅の持ち分設定です。

例えば、3000万円の家を買うとして、夫が2000万円の住宅ローン、妻が1000万円の住宅ローンを借りてこの家を買ったとします。

出したお金は夫が2/3、妻が1/3ですよね。

それにもかかわらず、住宅の持ち分設定を夫だけの所有にしてしまうと妻が1000万円分夫に贈与したという扱いになり、贈与税がかかる可能性があるんです。

ですから、ペアローンで住宅ローンを借りる場合は借入額に応じて夫婦や親子で持ち分を設定する事が大切です。

住宅ローンの借り換えができなくなる可能性

金利の変動などで住宅ローンを借り換えることがあります。

ペアローンは夫婦や親子がそれぞれ住宅ローンの借り主になります。

つまり、住宅ローンの借り換えをする場合はそれぞれがまた審査を受けて、審査に通る必要があります。

もし、片方が通ったけど片方が通らないという場合、住宅ローンの借り換えができないという問題が発生するんです。

例えば、奥さんが出産を機に仕事を退職してしまった場合などは奥さんの収入が無くなるので借り換えは不可能でしょう。

金利が下がったので、どうしても借り換えしたいなど場合は、住宅ローンの名義を夫一本にし、住宅の妻も持ち分を買い取る形にするなど何かと面倒です。

もし、将来住宅ローンの借り換えを考えていて、妻が将来的に仕事を辞める可能性が高いのであればペアローンは避けておいた方が無難です。

 

以上のようにペアローンには借入額の大きさや税制面など多くのメリットがありますが、夫婦の場合だと将来の夫婦の状況によって生じるデメリットもあります。

ペアローンは夫婦や親子で組みます。

ペアローンを検討する場合は、そのペアを組む相手の将来の考え方や状況をよく話し合っておくことが何よりも大切です。

前のページ     次のページ