住宅ローンを申し込んだら審査に落ちてしまった場合はどうしたらいいのでしょう?
復活できるケースと復活できないケースがあります。
そのカギは審査に落ちた理由、原因次第です。
それによって復活できたり、できなかったりするんです。
住宅ローンの審査に落ちた場合の対応について考えてみましょう。
住宅ローンの審査に落ちた理由、原因を探す
銀行や保証会社の審査基準はまちまちです。
銀行や保証会社がどのような基準で審査しているのかはわからないので、審査に落ちた明確な理由を探すのは正直難しいところがあります。
住宅ローンの審査に落ちた場合、通常申し込みをした金融機関の営業店担当者からその結果が知らされます。
大半の場合は「なぜ落ちたんですか?」と審査に落ちた理由を訊ねられます。
金融機関は審査に落ちた理由を申込人に回答することはできません。
しかし、金融機関が行う事前審査(仮審査)で落ちたのか、信用保証会社が行う本審査で落ちたのかがわかれば、審査に落ちた理由を推測することが可能です。
金融機関が行う事前審査(仮審査)は通ったのに、信用保証会社が行う本審査で落ちるというケースは実に多く、その場合は収入、借入金額、返済期間などから審査される「定量的な返済能力」というより、過去のクレジット延滞などによる「定性的な信用力」が原因になっていることが考えられます。
住宅ローンの審査に落ちてしまう理由は、実にたくさんあるんです。
収入、借入金額、返済期間などから審査される「定量的な返済能力」はある程度見当が付きます。
そこに原因があるのなら、借入金額の削減、金利の上乗せ、保証人の追加など金融機関が対応できる条件を提示する場合があり、その条件を満たすことで審査は通ったりします。
原因がよくわからないのが過去のクレジット延滞などによる「定性的な信用力」で審査に落ちた場合です。
この原因が様々考えられるんです。
いくつかの例をあげてみましょう。
携帯電話料金の未納
最近多いパターンです。
人気のiPhoneなどの携帯電話機種を購入する場合、代金を分割支払いにして購入する方も多いと思います。
請求は通話料と一緒に来ることになりますが、この携帯電話機種の代金部分はローンなんです。
その支払いを口座振替にしていた場合、その請求の引落日に引落口座に充分なお金が入っていなかったために引き落としができず、しばらくほったらかしにしてしまったといった例などです。
このケースはローンの延滞と見なされ、個人信用情報上アウトです。
クレジットカード払いにしておくというのも1つの方法ですが、クレジットカードの請求代金引落日に引落口座が残高不足で引き落としができないとこちらはクレジットカードの延滞となり、これまた個人信用情報上アウトです。
クレジットカードの延滞
上記で携帯電話代金のクレジットカード払いのケースを書きましたが、クレジットカードはそのほか様々な支払いに利用されます。
ショッピングに限らず飲食店での代金、公共料金、スポーツジム等の会費、習い事の月謝などもクレジットカードで払えたりします。
特にネットショッピングの増加に伴い、クレジットカードの利用は増えています。
クレジットカードの代金は金融機関の口座から引き落とされますが、その請求の引落日に引落口座に充分なお金が入っていなかったために引き落としができないと、クレジット代金の延滞となり個人信用情報上アウトです。
クレジットカードのキャッシング枠
意外な落とし穴がクレジットカードのキャッシング枠です。
クレジットカードはショッピング等の支払いだけでなく、ATMにクレジットカードを入れるだけである一定枠まで簡単にお金借りることができるキャッシング機能があります。
いつでもお金が借りられるわけですから、借りていなくてもこの枠が既に借りているものだとみなされてしまうことがあるんです。
つまり、キャッシング枠のついたクレジットカードをたくさん持っていると、キャッシング枠を使っていなくてもお金を借りていると見なされ、これが理由で住宅ローンの審査に通らないという場合があります。
ですから住宅ローンを申し込む前に、使っていないクレジットカードは解約し、使っているものに関しては、使わないキャッシング枠があるのであれば、この枠もはずしてしまうとよいと思います。
キャッシング枠のはずし方は簡単で、クレジットカードの裏に書いてある電話番号に電話をし、キャッシング枠を外したいと伝えるだけで大丈夫です。
「定性的な信用力」で審査に落ちた要因は、このほかにも様々ありますが、問題はこの要因に気づいていない場合です。
私の話ですが、昔こんなことがありました。
私は銀行員時代長く東京に勤務していました。
ある日、懇意にしていたある信託銀行の担当者から、その信託銀行のカードローンの加入を依頼されました。
その信託銀行でカードローンのキャンペーンがあり、ノルマがきたらしいんです。
必要はなかったんですが、お付き合いでその信託銀行のカードローンを申し込みました。
年間手数料が千数百円かかるもので、預金口座を作成しその口座に年間手数料分として2,000円入金しておきました。
もちろんそのカードローンは使用することもなく放置していました。(というより存在すら忘れていました)
それから十数年が経過し、私が転勤で東京を離れることになりました。
荷物を整理していたら、十数年前に作ったカードローンのカードと通帳がひょっこり出てきたんです。
「そういえば、ずいぶん昔に頼まれて作ったんだっけ」なんて思いながら、充分義理も果たしたし、引っ越す前に解約手続きすることにしたんです。
後日の昼休みにカードローンを作成した信託銀行の窓口に解約手続きに行きました。
そこでビックリすることがあったんです。
なんと全く使用していないカードローンの解約で精算金を2万数千円請求されたんです。
「ちょっと待ってください、これは頼まれて作ったカードローンで、一切利用していませんよ」と告げると、窓口の女性は申し訳なさそうに
「このカードローンは年間手数料がかかりまして、毎年の年会費をカードローンから借りて支払っている形になっており、ぞの借り入れに借り入れ利息が付いてこの清算金額になります」
そうなんです、自分では全く知らない間にカードローンを使っていたことになっていたんです。
幸い毎年の年間手数料は借金という形で支払っていることになっていましたので、延滞扱いにはなっていませんでした。
釈然としませんでしたが、清算金額を支払ってカードローンを解約しました。
私の不注意ということもありますが、このように自分が気づかないことで思わぬ債務を負っていたり、支払代金が未納、滞納になっているケースは少なくないんです。
このように自分で気づかないうちに問題を起こしているケースがあるんです。
まして、身に覚えのある場合はなおさらです。
そこに、住宅ローンの審査に落ちた理由、原因があるはずです。
その理由、原因を具体的に確かめる方法について説明します。
個人信用情報を確認する
住宅ローンの審査に落ちた理由、原因を知りたい人や住宅ローンを申し込む前に自分の履歴に不安がある人は自分の個人信用情報を確認する方法があります。
国内には日本信用情報機構(JICC)、シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)という個人信用情報センターが3つあります
この3つの個人信用情報センターに自分の個人信用情報を請求すれば、自分の過去の履歴をチェックすることができます。
3つの個人信用情報センターはそれぞれ取り扱う個人信用情報が異なります。
自分の履歴に不安がある人は全てから個人信用情報を取り寄せたほうが無難でしょう。
個人信用情報センターが取り扱う個人信用情報は次の通りです。
国内の個人信用情報センター
日本信用情報機構 (JICC) |
消費者金融会社の約80%が加盟 顧客情報/契約内容/返済状況/取引事実情報/申込み情報等が申請・登録されます 日本信用情報機構のホームページ |
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シー・アイ・シー (CIC) |
信販会社、百貨店、クレジット会社、リース会社、保険会社、保証会社、銀行、消費者金融会社、携帯電話会社などが加盟 顧客情報/契約内容/返済状況/取引事実情報/照会利用情報等が申請・登録されます シー・アイ・シーのホームページ |
全国銀行個人信用情報センター (KSC) |
金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、政府関係金融機関など)、銀行系クレジットカード会社、消費者金融専業者、保証会社等が加盟 取引情報/照会記録情報/不渡情報/官報情報/本人申告情報などが申請・登録されます 全国銀行個人信用情報センターのホームページ |
個人信用情報の請求方法は各個人信用情報センターのホームページをご確認ください。(上の表に各個人信用情報センターのホームページをリンクしていますのでクリックすればホームページにアクセスします)
手数料は各社1,000円前後で高くはありません。
こうやって調べると、自分が気づかなかった問題が出てくるんです。
自分では何も問題がないと思っていたけれども、よく思い出してみると「携帯電話の支払いを遅延したことがある」、「レンタルDVDの返却を忘れていたことがある」なんて細かいミスをしていたなんてこともあるんです。
ここまで確認すれば、住宅ローンの審査に落ちた理由、原因はかなり見えてくるはずです。
住宅ローンの審査に落ちた理由、原因をがわかったら
住宅ローンの審査に落ちた理由、原因をがわかったらその対応を考えます。
その理由、原因によって対応が変わります。
住宅ローンの審査に落ちた理由、原因が軽微な場合
過去のミスが故意ではなく、その回数が少なかったり、きちんとその理由が説明できるケースです。
この場合は住宅ローンの審査に落ちた金融機関での復活は難しいかもしれませんが、過去のミスを説明することで、他の金融機関の住宅ローン審査をパスする可能性があります。
例えば、携帯電話料金の支払いが遅延していたことが判明した場合、たまたま引落口座に入金する前にけがや病気で入院したのであれば、当然入金はできませんし、正当にに説明できるあります。
しかし、本審査を行う信用保証会社はそんなことは知りません。
このように本審査を行う会社がわからない、正当な理由でミスをしていたのならその事情を前もって説明しておけば審査の心証は随分違います。
このように説明のつく軽微なミスで事前に説明できていれば住宅ローンの審査に通っていたかもしれないんです。
ただし、これは住宅ローンに申し込む前に自分のミスがわかっていなければなりません。
住宅ローンの審査に落ちた金融機関に後からその事情を説明しても難しいと思います。
ですから、別の金融機関に再チャレンジする際には必ずこの点を説明するようにしましょう。
住宅ローンを申し込んだ金融機関の窓口において口頭で説明しても構いませんが(おそらく担当者がその事情を補足説明として作成してくれるはずです)、自分自身で文書を作成して渡すことができれば、さらに心証がよくなると思います。
住宅ローンの審査に落ちた理由、原因が軽微でない場合
過去のミスが本人に起因するもので、その回数が多く、理由が説明できないケースです。
例えば、消費者金融への返済が何度か遅延したとか、クレジットカードの返済が何回か遅れたなどです。
このような事実が個人信用情報に記載されていたら、「この人は信用のない人だ」と判断され、住宅ローンの審査に通ることは難しいでしょう。
大企業に勤務し、年収が高額であっても、過去にクレジットカードの延滞などを繰り返していると、その人は住宅ローンの審査に通りません。
年収などの返済能力も大切ですが、その人がきちんと毎月返済してくれるかといった信用力も住宅ローンの審査には重要なんです。
では、住宅ローンの審査に落ちた理由、原因が軽微でなかった場合はどうすればいいのでしょうか?
この場合はしばらく時間を待つしかないんです。
ミスを犯して一度個人信用情報に記載されると、ミスの度合いにもよりますがその情報が更新されるまでに5年から10年ほどかかります。
一般的には5年で消えるケースが多いようです。
仮に3年前になにか履歴に残るミスをしてしまった場合、あと2年でその履歴は消えるということです。
ですから、2年後以降にあらためて住宅ローンの申し込みをすれば、個人信用情報の履歴は消えています。
その際は住宅ローンを申し込む前に個人信用情報を取り寄せて、過去の履歴が消えていることを確認したほうがよいでしょう。
もっと大切なことは、これから新たなミスを犯さないことです。
そんなことをしてしまえば、そこからさらに5年間、個人信用情報に新しい履歴が残ってしまいます。
同じ過ちを決して繰り返さないように工夫することが大切です。
同じ過ちを繰り返さない工夫
個人信用情報の履歴は未払いや延滞に起因するものが多くあります。
これを起こさないための工夫をいくつかご紹介します。
不要なクレジットカードは持たない
大変便利なクレジットカードですが、結構複数枚保有しているケースが多いですね。
私も付き合いなんかで10枚くらい持っています。
しかし、実際利用しているのはその内の2枚程度です。
上記で説明しましたが、住宅ローンの審査においてはクレジットカードのキャッシング枠も借入額と見なされますので、クレジットカードをたくさん持てば持つほど、住宅ローンの審査にマイナスになります。
クレジットカード自体を持たないのがベストですが、必要であれば最低限の保有にしましょう。
銀行口座を集約する
銀行の口座も複数持っている方が多いですよね。
これって結構管理が大変なんです。
特にそれぞれの口座から口座振替などの引落がある場合は、そこで引落不能が起こるリスクが大きいです。
このような方は銀行口座を1つに集約してください。
給与振り込みから公共料金の口座振替、クレジットカード、携帯電話の引落などすべて1つの口座にまとめるんです。
給与振り込みの口座なら毎月の給与が入金されることで引落の際に残高不足になりリスクが大幅に減ります。
もし給与が手渡しであれば、給料日にその口座に一定額を入金するようにしましょう。
住宅ローンを借り入れたい銀行があればそこに口座を集約するのがベストです。
なぜなら、住宅ローン申し込みの際、銀行は給与振り込みや公共料金の口座振替があれば一定の評価をしますし、金利面での優遇が受けられるケースもあります。
銀行の総合口座に定期預金をセットする
個人が銀行で口座を開く場合、現状はほとんどが総合口座と呼ばれるものです。(法人は総合口座が開けず、普通預金になります)
総合口座とは普通預金と定期預金がセットになっており、普通預金が不足した場合、定期預金の90%までの金額が使用できるといったものです。(実態は定期預金を担保に銀行からお金を借りる形で、それには利息が付きます)
この総合口座に定期預金をしておくんです。
金額は1か月分の給与程度でいいと思います。
例えば、総合口座に20万円定期預金をしておけば、普通預金の残高が無くなっても定期預金の90%、すなわち18万円が使用できます。
うっかり入金を忘れていた時、口座振替があったとしても18万円までなら対応できるんです。
これでクレジットカードや公共料金の引落ができないという事態に対応できます。
このページで説明したことを住宅ローン申込の前にやっておけば、住宅ローンの審査は通りやすくなります。
次のページでは住宅ローン申し込みの前にやっておく事前準備について説明します。
なお、住宅ローン審査の詳細については「住宅ローンの審査がわかる.com」というサイトを公開していますので、こちらもよかったらのぞいて見て下さい。