住宅ローンとは直接関係ありませんが、前のページの住宅物件の購入原資で説明した「親や祖父母からの援助」の税制上の特例「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」について、ご参考までに詳細を説明します。
親、祖父母とはいえ1年間に110万円以上の財産をもらうと贈与税という高い税金をとられます。
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」は住宅取得のための資金であれば贈与税を優遇してあげるよといった実にありがたい制度です。
家を建てる際、多くの人が利用しています。(私は利用できませんでしたが)
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例」を利用できる場合は是非活用しましょう。
以下は国税庁のホームページから抜粋した文章に私の勝手な要約を加える形で説明します。
でも、どうしてお役所の文章ってあんなにわかりづらいんですかね・・・
(注)この特例は非課税の金額等が毎年度変わりますので、詳細は国税庁のホームページで確認してください。
1.制度のあらまし
平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又はその増改築等の対価に充てて新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税となります(以下、「非課税の特例」といいます。)。
【要約】
家を建てたり増改築する際に、自分や配偶者の親、祖父母から援助してもらった資金は一定範囲まで贈与税がかかりませんよといった趣旨です。
2.受贈者の要件
次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
(1)次のいずれかに該当する者であること。
イ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
ロ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
ハ 贈与を受けた時に、日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有している。
(2)贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。 なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。
(3)贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
(4)贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
【要約】
援助を受ける人が援助してもらった時に20歳以上で、原則として日本に住んでいて、年間の合計所得2,000万円以下のすべての条件を満たした場合にこの特例が受けられますよといった趣旨です。
3.住宅取得等資金の範囲
住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する家屋を新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てるための金銭をいいます。なお、居住用の家屋の新築若しくは取得又はその増改築等には、次のものも含まれます。
・その家屋の新築若しくは取得又は増改築等とともにするその家屋の敷地の用に供される土地や借地権などの取得
・住宅用の家屋の新築(住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに行われたものに限ります。)に先行してするその敷地の用に供される土地や借地権などの取得
ただし、受贈者の一定の親族など受贈者と特別の関係がある者との請負契約等により新築若しくは増改築等をする場合又はこれらの者から取得する場合には、この特例の適用を受けることはできません。受贈者の一定の親族など受贈者と特別の関係がある者とは、次の者をいいます。
(1)受贈者の配偶者及び直系血族
(2)受贈者の親族((1)以外の者)で受贈者と生計を一にしているもの
(3)受贈者と内縁関係にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
(4)(1)から(3)に掲げる者以外の者で受贈者から受ける金銭等によって生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの
【要約】
住宅取得等資金とは家を取得したり増改築のためのお金のことで、その中には家を建てるための土地の代金も含まれますよ。
ただし、親戚などの特別な関係者との土地売買や建築工事の依頼についてはこの特例は受けられませんよといった趣旨です。
4.居住用の家屋及びその増改築等の要件
(1)居住用の家屋の要件
居住用の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
なお、居住の用に供する家屋が二つ以上ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる一つの家屋に限ります。
イ 家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
ロ 購入する家屋が中古の場合は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(イ) 耐火建築物である家屋の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
(ロ) 耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
(ハ) 地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」又は既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたものであること。
(ニ) (イ)から(ハ)のいずれにも該当しない家屋の場合で、その家屋の取得の日までに同日以降に耐震改修工事を行うことについて所定の手続きをし、かつ、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき、一定の書類で証明されたものであること
ハ 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。
(2)増改築等の要件
特例の対象となる増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有し、かつ、自己の居住の用に供している家屋について行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。
イ 増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。なお居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。
ロ 増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。
ハ 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
ニ 増改築等に係る工事が、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。
【要約】
この特例が利用できる居住用の家屋とは日本にあって、床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で床面積の半分以上が店舗などではなく住まいでなければいけませんよ。
購入する家屋が中古の場合は耐火建築物なら築25年以内、耐火建築物以外なら築20年以内ですよ。
増改築の場合は工事の費用が100万円以上の工事でなければいけませんよといった趣旨です。
5.非課税限度額
平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に住宅取得等資金を贈与により取得した場合における受贈者1人についての非課税限度額は、住宅の種類や住宅用家屋の取得等に係る契約の締結がいつになるかにより異なることとなりました。
各年分の非課税限度額は、次の表のとおりとなります。
イ 下記ロ以外の場合(以下、「住宅資金非課税限度額」といいます。)
住宅用家屋の取得等に係る 契約の締結期間 |
良質な住宅用家屋 | 左記以外の住宅用家屋 |
---|---|---|
~平成27年12月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月~平成29年9月 | 1,200万円 | 700万円 |
平成29年10月~平成30年9月 | 1,000万円 | 500万円 |
平成30年10月~平成31年6月 | 800万円 | 300万円 |
ロ 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合(以下、「特別住宅資金非課税限度額」といいます。)
住宅用家屋の取得等に係る 契約の締結期間 |
良質な住宅用家屋 | 左記以外の住宅用家屋 |
---|---|---|
平成28年1月~平成29年9月 | 3,000万円 | 2,500万円 |
平成29年10月~平成30年9月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成30年10月~平成31年6月 | 1,200万円 | 700万円 |
(注1) 既に非課税の特例の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額になります。
また、平成28年9月以前に契約を締結した住宅用家屋について、消費税率10%以外の場合の住宅資金非課税限度額(上記の表イに掲げる部分)の適用を既に受けたことがある者であっても、平成28年10月以降に住宅用家屋の売買契約、又は自己が居住している住宅用家屋の増改築工事の請負契約を締結して消費税率10%が適用される場合には、特別住宅資金非課税限度額(上記の表ロに掲げる部分)の適用を再度受けることができます。
注2) 「良質な住宅用家屋」とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱等性能等級4)相当以上であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること又は免震建築物であること)に該当する住宅用家屋であること、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋であること又は高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上に該当する住宅用家屋であることにつき、一定の書類により証明されたものをいいます。
なお、平成21年分から平成26年分において、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けている場合には、平成27年分以降の贈与でこの非課税の特例の適用を受けることはできません。
【要約】
この特例を受ける場合の非課税限度額は、省エネ等住宅の場合とそれ以外の住宅では金額が違いますし、住宅を購入する契約をした時期によっても違いますよといった趣旨です。
6.非課税の特例の適用を受けるための手続
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に計算明細書、戸籍の謄本、住民票の写し、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
【要約】
この特例を受けるためには、お金をもらった年の翌年2月1日から3月15日までの間に税務署で手続きが必要ですよといった趣旨です。